青の祓魔師に登場するサタンや
彼らの名前は神話や伝承から採られていますが、青の祓魔師では面白いことに「人間たちの書物を読んで自分で名前を決めている」ようなのですね。
サタンは書物を大量に読んだ結果自分を神と結論しサタンを名乗りました。それではサマエル様はどうだったのでしょう。
エノク書におけるサマエル
最初にサマエル(Samael)の名前が登場するのは紀元前300-100年ごろに書かれたエノク書です。現在では偽典とされていますが、少なくとも2000年程前には広く読まれていたようです。
エノク書におけるサマエルはグリゴリの一員です。グリゴリは人類の監視を命じられた堕天使たちの名称です。人と交わり秘められた知恵を与えて堕天しました。交わった女たちから
グリゴリのリーダーはシェミハザ、頭にはアザゼルやアルムマヘルの名前があります。サマエルはその下っ端です。正十字騎士團の状況とにていますね(
第3バルク書におけるサマエル
第3バルク書は西暦70-300年程度に書かれた偽典の一つです。この書におけるサマエルはエデンの園に知識の木を植え、アダムとイヴを誘惑し 神に呪われ追放されたとされます。蛇に乗り移動をしたようです。
メフィストのイメージに近いですね。サマエルという名はここから引用したのかもしれません。
ちなみに「ファウスト(ゲーテ)」に登場する悪魔メフィストフェレスもまたアダムとイヴに知恵の実を与え誘惑した蛇・・・の甥っ子、という設定です。
人に知恵を与える失楽園の蛇がメフィストの自己イメージなのですね。
青の祓魔師19巻においてメフィストが受肉当時を振り返ります。そこでの光景は時代はわかりませんが中東地域に見えます。
地域的にもぴったりです。印刷技術もなかった当時、メフィストがどのような書物を手に取れたかを考えれば ユダヤ教の写本群から自身の名をつけるのは理にかなっているように思えます。
様々なミドラーシュにおけるサマエル
元々は天使/堕天使として扱われていたサマエルですが徐々にイメージを変え、6世紀以降には最も有名な悪魔のひとつになります。
死の天使、死神、サタンの手先、堕天使の長、誘惑者、告発者、サタンやベリアルとの同一視もされています。
青エク的には「メフィストがサマエルを名乗るようになったせいでサマエルのイメージが悪化した」と考えるとしっくりくる気がしますね。
ルシフェルの場合
ルシフェルの名の意味は ”宵の明星” 。様々な神話に金星の擬人化として登場します。そのルーツは古く、紀元前四千年 インド・ヨーロッパ始族の天空神崇拝まで遡ります。その信仰はギリシャ神話、ローマ神話などに引き継がれました。かつては神様だったわけですね。
後の時代、キリスト教のイザヤ書以降にルシフェルの名は悪魔として知られるようになっていきました。
青エク的には昔はまともだったけれども途中で発狂してしまったといったところでしょうか。
参考: