メフィストを讃えるblog

「青の祓魔師」ネタバレ考察 + α

八候王の元ネタを探る

ネタバレ考察です。この記事では青の祓魔師における 八候王バールの元ネタを探ります。


八候王(バール)の元ネタとは

まずはバールのスペルを調べるために「青の祓魔師」英語版をみてみました。


"In Gehena, I am the second most powerful being...
... and known as SAMAEL, KING of TIME.

I am one of the demon royalty known as the BAAL."


(私は虚無界ゲヘナにおける第2位の権力者・・・ 時の王・サマエル。 悪魔の王族・八候王バールのひとりです)


八候王バール は Baal と書くようです。 それに Lord of Time ではなく King of Time なんですね。王様です。

Baal ということは元ネタはおそらくこちらでしょう


ja.wikipedia.org


バアル (Baal) はかつてカナン地域を中心に各地で崇められていた神様でしたが、キリスト教から敵対視され悪魔とされました。悪魔学では地獄の大公とされます。


大公とは王以外の王族、王の息子や兄弟などの持つ爵位です。王に等しい力をもちそれぞれの国を治めます。サタンを王とするとメフィストやアマイモンはその息子。だから大公なのですね。


ちなみにゲヘナGehenna)とはキリスト教でいう地獄のことです。地獄の大公=虚無界ゲヘナの王族ですね。ただし彼らの領土は人の持つ概念。そこに住まう民はそれぞれの眷属の悪魔、といったところでしょうか。

日本語では八候王と漢字表記されています。これは 八人の諸侯王=八候王 ですかね? この方が大公と表記するよりも王であることがわかりやすいのかもしれませんね。

かつては神であった



八候王バールの正体は人の信仰と共に生まれた概念的存在です。かつては神々として崇められていたようです。19巻第86話 八候王バールの会合における描写を見ても彼らは自分たちを神と認識しているようです。


青の祓魔師 19巻86話「結果枝」より

「”神”である我々が清浄へと導くべきだ!」


一方、バアルは古代の天候神です。紀元前三千年前には登場し、メソポタミア北部からシリア、パレスチナにかけて信仰されていたようです。かつては神であったのに時代が下るにつれ悪魔扱いされていったバアル。このあたり青の祓魔師八候王バールとよく被りますね。


雪男はメフィストを何と呼んでいるか


ところで雪男はメフィストのことを「フェレス卿」と呼んでいますが、英語版ではどうなっているかというと・・・

LORD PHELES, father Fujimoto died.


ロード・フェレス・・・!! なんだかかっこいい。
フェレス卿をそのまま訳したのでしょうね。本来英語だと爵位によって呼び方が変わるようですが、正確に訳すとネタバレになってしまうのでこんなかんじなのかもしれません。最初に登場した時はドイツかどこかの爵位を持っているものかと思っていましたよ。まさか虚無界ゲヘナの王族とはね。

参考:貴族制度と呼び方について解説。最低限これだけは押さえておきたい要素とは? | おすすめネット小説投稿サイト研究所


追記(22.10.23)

関連はわかりませんが、「実伝・ファウスト博士」の中にも悪魔の八人の王が出てきます。
ヨハン・ファウストは15世紀ドイツに実在した黒魔術師です。悪魔と契約していたとされ、死後様々な噂と伝説が生まれました。それらの伝承をまとめた最初の本が「実伝・ファウスト博士」です。

東の王・ルシフェル、北の王・ベルゼブブ、南の王・ベリアル、西の王・アスタロト。そしてサタン、アヌビス、ヂュティカヌス、ドラフスと続きます。メフィストフェレスルシフェルの部下として登場します。

八候王の元ネタの一つだったりするのでしょうか?関係を考えると楽しいですね。