メフィストを讃えるblog

「青の祓魔師」ネタバレ考察 + α

続・ゲーテと青の祓魔師 2人のメフィスト

t-reversal.hatenablog.com

こちらの続きです。
ゲーテファウスト」のメフィストフェレス青の祓魔師メフィストフェレス(以下サマエル)を比較しながらながめてみます。


観客いじりと狂言回し


青の祓魔師」のサマエルは自分たちがジャンプSQに連載中の漫画の中にいることをメタ認知していてちょくちょく読者にアピールしてきます


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一方、ゲーテの方のメフィストフェレス観客いじりをします。

ゲーテの「ファウスト」は戯曲といって舞台演劇の台本のようにして書かれたものです。その中でメフィストフェレスの台詞には観客に話しかけるものがあるのです。


  • (観客席に向かって) 

「もういやだ、そちらにいってもいいですか?」

  • (笑っていない客に向かって) 

「おや、あなたは笑っていないですね? あなたも歳をとったらわかりますよ」



こんな調子です。


また、第2部の3幕ではメフィストフェレスによる狂言回しも用意されています。第3幕においてメフィストフェレスは「フォルキュアス」という怪物に化けているのですが、劇が終わるとわざわざ観客の前で仮面と衣装を脱ぎ捨てメフィストフェレスとしての正体を現します。そして舞台の解説を行うのです。

青の祓魔師サマエル狂言回しは得意ですね。



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主人公を導く鍵

メフィストフェレス 「お出かけになるまえに、褒めてあげましょう。たしかにあなたは悪魔ってものをよくご存知ですね。さあこの鍵をおとりなさい。

これがどんな宝だかおわかりですかね? この鍵が正しい場所を嗅ぎつけてくれます。それについてゆけば母たちのところへゆけるんです。

ゲーテファウスト」(訳:相良守峯)より引用


ファウスト第2部中盤において、主人公は形而上世界に向かいます。そのとき、メフィストフェレス主人公を導く鍵を渡すのです。

青の祓魔師」においてもサマエルは空間移動アイテムとして鍵をつくりだします。過去編においても持ち主を望んだ場所に導く「無限の鍵」が主人公を導きました。


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時よ止まれ

ファウスト

では約束したぞ。
私がある瞬間に対して、留まれ、お前はいかにも美しい、といったら、
もうお前は私を縛り上げても良い、
もう私は喜んで滅びよう。

もう弔いの鐘がなるがいい、
もう君のしもべの勤めも終わりだ。

時計はとまり、針も落ちるがいい、
私の一生は終りを告げるのだ

ゲーテファウスト」(訳:相良守峯)より引用

あまりにも有名な契約のセリフです。美しいですね。

「時計は止まり、針も落ちるがいい」 

印象的な死の暗喩です。このフレーズは契約が成った時にもメフィストたちにより繰り返されます。

メフィストフェレス 「針が落ちた。事は終わった。」



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さて、青の祓魔師サマエル虚無ゲヘナゲートを封印するために周辺一帯の時を止めました。その時の呪文は "「時よ止まれ」" です。ゲーテの「ファウスト」からの引用でしょう。


またその封印が解除された時、中央にあった時計が壊れ 文字通りの意味で針が落ちています。



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逆に似ていないところは?

青の祓魔師サマエルゲーテメフィストフェレス。逆に似ていないところはどこかというと


お下品なところ


ではないでしょうか。
ゲーテメフィストフェレスはひたすら下品です。下品・下劣・外道の三拍子揃っています。

すきあらば下ネタを突っ込むし、卑猥な仕草をします。メフィストフェレスの言動には伏字が多いです。

やることも外道です。特に第1部のマルガリータ編においては目を背けたくなるような展開が続きます。


紳士な青エクのメフィスト

一方、青の祓魔師メフィストはお上品ですね。

面白いことに紳士になったぶん、怖さが増しているのです。王の風格といいますか。普段は紳士で物腰が柔らかい分、たまに見せる悪魔の顔にゾクッとするわけです。


ゲーテメフィストはお下品なのでどうも三下キャラみたいに見えるんですね。やっている事はえげつないのにあまり怖くない・・・ジョジョの奇妙な冒険で悪の手下として出てきそうなかんじ。

一応、彼も長く生きる悪魔の大親分なはずなのですが。



とりあえず今日はこのくらいです。そのうちグノー版のメフィストフェレスの話もしてみたいです。