ネタバレ考察です。今日は11巻66話「ピンクスパイダー中編」から。ヴァチカンから訪れたライトニング。志摩の信頼性の検証のため祓魔塾メンバーに聞き取り調査を始めますが、次第に疑惑の矛先はメフィストへ。最後は逆ギレしたメフィストのちょっと怖い姿が見られます。さてこのシーン、2回目に読み返すと別の意味で怖いですよ。状況を整理して見ましょう。
- イルミナティのスパイがいる
- サタンの覗き穴がいる
- この状況で自身と志摩への疑いを晴らさなければならない
- ただし雪男には疑われたままでいなければならない
これは難題ですよ。メフィストはサタン側には「憑依体(=燐)を用意する代わりに人間を殺すのをやめてほしい」と取引をしています。サタンに敵対するような発言はできません。万が一「燐をサタンを倒す剣とする」などといった日には青い夜が再開してしまうでしょう。
イルミナティのスパイがいるのも問題です。メフィストは時の力を駆使しイルミナティに負けるたびにタイムリープしてやり直しています。この能力は相手サイドに知られたくありません。
雪男の存在が状況をさらにややこしくしています。雪男にはいずれイルミナティ側に裏切ってもらわなければなりません。
この状況において祓魔塾メンバーは怪しい挙動をしているメフィストを疑い疑惑を追求し始めてしまいました。さぁ どのようにして志摩とメフィストへの不信を晴らせばよいのでしょうか?ただし雪男には疑っていてもらわなければなりません。これは難しい。
メフィストは自身をチェスのプレイヤーに、メンバーを駒に例えて話します。これは自身の能力を悟られない範囲でのギリギリの説明でしょう。そして「なぜお前に従わなければならないんだ」と怒る燐に対する返答がこれです。
これは上手いですね。サタンが覗いている前で「サタンを倒すため」とは口が裂けても言えませんが「ルシフェルを倒す」ならOKです。 ルシフェルとメフィストが数百年に渡り戦っているのは
尚も敵意を燃やし向かってくる燐に対し メフィストは恐ろしい姿に変貌してそれを迎えます。
”悔しかったら少しは私に 成長のほどをみせてみるといい”
獅郎の言葉を引用して燐を煽っています。
逆ギレ同然に見えますが、この少し後の描写を見ると実はメフィストは怒っていないのですよね。燐との喧嘩に持ち込んで追求を有耶無耶にする気だったのかもしれません。
ライトニングが去った後のこの顔。
メフィストは時の力を駆使し巧みな話術で丸め込み だいたいどんな相手でも手玉に取ってしまいます。この話はそんなメフィストが追い詰められる非常に珍しいシーンです。後から見直すとメフィストの置かれていた状況の凄さに気がついてビックリしますね。
この話では焦って汗を流す顔や、ライトニングにしてやられた時の苦い顔などメフィストの珍しい表情が見れて楽しいです。
しかしこのシーン、何も知らないで見ると 「追い詰められ 自身の悪事をペラペラ喋り出し 真の姿に変身して迎え討つRPGの大魔王」 そのものですよ。メフィストはほんとうに悪役が似合うなぁ・・・。