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時空間を司るフェレス卿にどのような戦い方があるだろうか?
フェレス卿は設定上、火と水の使い魔を持たないようなので まずはそちら方面から考えていこう。
炎/氷系攻撃(松原形式)
まずは時間を虚時間にする。フェレス卿ならmetricの操作など造作もないだろう。そして時間方向に周期的境界条件を設定する。この周期βと温度 T は以下の関係になる
β = 1/ kT (kはボルツマン定数)
これは松原形式といって有限温度系の場の量子論においてよく使われる手法である。時間方向の周期を調整することで好きな温度にすることができる。
敵を燃やしたいなら時間方向の周期をググーーーっと縮めていけば良い。T=160 MeV、つまり1兆6000億度になる頃には敵は原子核を構成する素粒子ごとバラバラになる。クォーク・グルーオンプラズマ(QGP)だ。この状態は宇宙誕生から数マイクロ秒後に相当する。クォークとグルーオンのスープ。心よ原始に戻れ。魂のルフラン。
なお、この攻撃をする際には周囲とは空間的に断絶しておいて欲しい。私はRHIC加速器の重イオン衝突実験を間近で観測するようなことは絶対にしたくない。ちょっと自重してください。
敵を冷却するときも簡単だ。時間方向の周期を無限大にすればよい。絶対零度で凍り付け。
光をも飲み込め(ブラックホール)
このまま光の王ルシフェルもサクッと倒しておこう。
フェレス卿は時空を操る。時空の歪みは重力である。空間を歪めてシュバルツシルト計量にしてもらおう。するとブラックホールが出現する。ブラックホールは光の王をも逃さない。あとはホーキング放射で蒸発しきるまでフェレス卿にどこかに保管しておいてもらおう。
なお、この攻撃をするときにはやっぱり空間的に遮断しておいて欲しい。地球上にブラックホール出現なんてとんでもない。フェレス卿は自重してください。
・・・しかしこの方法はよくないですね。ちょっとあっさり倒しすぎです。もう少しなぶり殺すような方法はないでしょうか?
あいつちょっと偉そうなんですよ。光の王ってつまり電磁波でしょう。電磁波の分際で生意気な。時空を司る王の前に土下座しろ。ひざまずけ。命乞いをしろ。
これはいけません。もう少し良い方法を考えてみましょう。
重力を強化する(ブレーンワールド)
重力は弱い。どのくらい弱いかというと電磁気力より10^(-40) くらい弱い。こんなだからフェレス卿は光の王に敗北するのだ。なぜこんなにも重力は弱いのだろう?この疑問に答える仮説のひとつがブレーンワールドだ。
高次元(4+n)時空に浮かぶ3+1次元のブレーン。その上にくっついて振動する弦が我々を構成する粒子だ。弦はブレーンから離れられないので我々は3+1次元空間から出ることはできない。一方、輪ゴムのように閉じた弦が重力子だ。重力子はブレーンにくっついている必要がないので高次元を移動できる。
重力が弱く見えるのはこのせいだ。高次元で散弾銃を撃つところを想像して欲しい。次元をあげるほどに威力が薄まっていくのがイメージできるだろうか?出る弾の数は同じなのに球の表面積が増えるため、弾の密度が薄まってしまうのだ。重力子でも同じことがおきている。
さて、我らがフェレス卿は時空を自在に操る。
余剰次元を全て閉じてもらおう。すると重力の強さは電磁気と同等かそれ以上になる。さあ!やっちまってください。フェレス卿!!
ただし、この攻撃をするときには周囲と空間的に断絶するのを忘れないでください。重力といえども気軽に変更して欲しくはありません。
強すぎる重力で人間が地球にくっつき、地球ごと中性子星となり、そのまま II型超新星爆発。そしてブラックホールへ。そんな事態は勘弁してほしい。
強ければ良いというものではないのです。自重してくださいフェレス卿。
概念ごと消滅させる(電弱統一)
もう少し趣向を凝らしたルシフェルの倒し方を考えてみよう。
上の図は4つの力の統一を表す図である。宇宙誕生から熱が冷えるにつれて重力、強い力、弱力と電磁気力に別れていった。重力よりもはるかに低い温度で電磁気力と弱い力が統一されることに注目してほしい。これを利用しない手はない。
電弱相転移温度まで上げてしまおう。もはや光の王は U(1) ゲージ場ではなく U(1) x SU(2) と認識されるようになる。
するとあいつは自分が誰だかわからなくなって虚無界に帰る。
すばらしい!この方法を対ルシフェル用自我忘却兵器 ルシフェル★バニッシャーと名付けましょう。
ただし、電弱相転移温度は 10^16度です。クォーク・グルーオンプラズマの相転移温度より0が4つ多いですからね?その辺よろしくお願いしますよフェレス卿。
物理法則を変更する
大変なことに気がついてしまった。フェレス卿は作用を変更できる。
作用とは物理理論を定義しているものだ。それらは次元と対称性により強い制限を受けている。
つまりフェレス卿は時空間の次元や対称性を操作することで作用を変更することができる。簡単にいうと物理法則を書き換えられるということだ。
フェレス卿の使っている魔法のようなアレ。あれはひょっとして物理法則を局所的に書き換えているのではないか・・・?
おわかりいただけただろうか
はい、フェレス卿は最強だということが理解できましたね。
最強すぎて迂闊に戦うと世界がヤバイ。だから戦ってはならないのです。ずっと執務室で碇ゲンドウポーズです。
フェレス卿こそ最強だと理解できた人からお帰りください。お疲れ様でした★